Dog man~俺、人間辞めます!~
オススメ度:★★★★☆
自分、猫より犬派なんですよね。だって犬ってかわいいですもん。
まず素直でしょ? 人間に全幅の信頼を寄せてくれるでしょ? 躾をすればするぶんだけ応えてくれるでしょ? それと、言葉をしゃべれない所がカワイイですよね。
この作品、オーソドックスなSMモノとして見れば文句はないんですけど『犬調教』を最大限に生かせているかというとちょっと疑問でした。
『人間辞めます!』要素は充分なんですけどね。
でも2パート目の孝輔さんの部分は、本当に「犬をかわいがっている」って感じが出てて良かったです。あの主人役の男優の「どしたの?ん?そっかぁ、エサかぁ~」って話し方、あれうちの弟が実家の犬にデレデレになってる時に激似で草生えましたわ。このパートは全体的に主人が優しいというか、もちろんビンタや鞭打ちはあるんですが『躾はするけど本当はかわいがってる』感がリアルの犬と接してる時と似てるんですよね。
そもそも飼い主は他のパートみたいにあそこまで厳しく叱責したり嬉々として罰を与えたりしませんもん。だってワンちゃんはかわいいんだから。(SMを全否定する屑発言)
トイレの扉をカリカリする犬に対して「そこは人間様のトイレだからな~」って困ったように言うのも犬飼い的にはポイント高かったです。人間のごはんを食べたがる犬に対して同じような心境になりますもんね。
パート3の哲也さんは基本的にはあんまり好みじゃなかったんですが、後半主人の気持ちが盛り上がって「ごめんなぁテツ、俺はこんな事でしか愛情を示せないから……」と泣きが入るシーンはちょっと飼い主的な葛藤とシンクロしてしまいました。(こらそこ、典型的なDV男の理論だとか言うな)
さっき「犬は言葉をしゃべれないからカワイイ」と言いましたが、犬への愛情が高まって感極まった瞬間には「人間の言葉をしゃべって欲しい」と思ったりもするんですよね。このパートのラストでは犬語を捨てて人間語を解禁するという逆転現象が起きていますが、飼い主のエゴを反映した結果だと思うと『動物を飼う』という人間の業が現れている秀逸な描写だと思いました。
ちなみに各所で煽られていた虫を食わせるシーンですが、期待してると肩すかしがヤバイっすよ。高級スーパーで売ってるような揚げてスナック菓子みたいになってる虫のおやつをちょっと食べさせる程度ですもん。パート1と4で登場していました。
これ平野店長も同様の事を思ったのか、店長のパートでは虫責めよりもむしろその辺に落ちてる葉っぱを食わせる方に力を入れてて感心してしまいました。というか平野さんの出演部分は僕らが平野源五郎に求めている要素がまんべんなく詰め込まれていて安定してイイカンジなのでオススメですよ。
これ全4パートのうちどれも全てエース級かつ作品のテーマをある程度内包しているので(パート1がちょっと退屈だったかな?でもオチは良かったかなくらい)サンプルを見て気になるなら買って損はないと思います。すべてのパートがトリでもおかしくない、全員がエースという箱根学園自転車競技部みたいなビデオだと思いました。(唐突な弱虫ペダルネタで締めるな)